もちもちの猫のほつれた右手

だいたい付き合っているヒモの話 不定期更新

呪詛

もうやっていけないと何度思ったかわからないし、家を出て行って欲しいとはきっとそれよりも多く思っている。

シンクには洗っていないお皿が積み重なって、料理をするのが億劫になる。着る服がなくなってから洗濯機を回す。髪の毛が床に落ちているのが見えるけど、見なかったことにする。トイレ掃除をして欲しいと何度か頼んでいるのに一向にやる気配はない。

前日ヒモが作ってくれた夕飯をお弁当に詰めておくのに、先週は一回も持っていくことができなかった。冷蔵庫に入れているうちに忘れてしまう。障害じゃね?とは何度か言われたけれど、特に気を悪くしている感じではない。なぜなら彼は本気で私にことをバカだと思っているし、私も彼のことを社会不適合者だと思っているからだ。

最近はパスタを作る時にちょっとした小競り合いになりがちだ。そろそろパスタが嫌いになりそう。

尊敬できなくなったら、興味がなくなったら、終わりなのだと思う。何をしてもどうでもいいと思うようになったし、尊敬もしなくなった。相変わらず頭はいいなと思うけれどそれだけだ。私以外の人と会話をして、話の通じなさに絶望すればいいのにと思う。

私は意思がないように振る舞うけれど、それでいてすごく我が強くて自信があるので、人の基準には合わせられない。合わせたくない。どうしたらうまくやっていけるだろうと思うけれど、具体的な案を何も考えたくない。

揉めるたびに「あの時解決しておけばよかった」という気持ちは呪いのように積み重なっていき、あ、あの嫌なやつだ、と体が勝手に反応する。だからと言って今回も解決できはしない。私はもう彼がそうなってしまった時に会話ができない。やり過ごすしかない。彼も私と話ができないからいらいらしていく。

それでも好きだと。忘れた頃に思うのだろうけれど。

 

早く仕事がしたい。もうこの家に居たくない。