もちもちの猫のほつれた右手

だいたい付き合っているヒモの話 不定期更新

眩しいDNAだけが外に出られる

 最近は文章を書く気力がわいてきた、というか、身体から文章があふれ出てくる状態に戻ってきた。嬉しい限りだ。

 道を歩いているだけで、電線上にいながらなにやらもごもご喋っている烏、夕焼けを帯びて虹色のようにグラデーションがかかる空、水を含んで重たい靴、頬を刺す風がコートにべったりと付着するような雪を連れてくる、なんて言葉がうごめいている。たのしい。

 1週間前まで一向に何かを書きたいという気持ちがわいてこなかった。好きだった人たちの小説を読めば、好きなキャラクターの二次創作を読めば、と思ったけれど、大まかなストーリーを追うのさえ目が滑り、つまらなくなって読むのをやめてしまう。

 何か書かなければ、と真っ白なワードの画面を開いてキーボードを凝視してみる。ぽちぽちと少し音を鳴らしては、苛立ったようにバックスペースキーが連打された。作家のまねごとをしていた私は本当に死んだらしいと思った。その状態に焦燥感すら抱かなくなった。

 音楽も聴けない。好きなアーティストが沢山新曲を出していたけれど、それを聞いて感情を動かされるのが面倒だった。元々知っている曲ばかりきいたけれどすぐに飽きる。音楽は情報の密度が多いので、摂取することが怖かった。海外ドラマと特撮とアニメ、ゲーム配信系youtuberの新着を消化できていたのがせめてもの救いだったのかもしれない。

 何を原動力に話を書いているか、と言われれば、自分は間違いなく負の感情である。世の中への憎悪を思い出してきたらしい。能動的に。ぼうっと何をするでもなく座ってることが多くなってきたので、きっと絨毯の毛の奥とかに落としてきた感性が戻ってきたのだと思う。

 ヒモ氏*1が最近自分の研究が楽しいらしく、あまり構ってくれなくなった。自分としても嬉しいことで、彼が私に構えば構うほど、構われ時間が最大の状態を普通だと思うようになってしまう。暇だな、と思うと彼を求め、彼がそれに答えることで私は物を書くために必要だった何かを失っていくのである。最近は構われ過ぎていたようだ。

 リア充に文学は必要ない、みたいな言説(うろ覚えなので大分語弊のある言い方ではありますが)は、文学は慰めだというような、読む人を対象とした言い方もされるけど、書く側にしても正しいと思う。原動力が負の感情の人にしてみればきっと正しくて、例えば恋人がいても満たされない何かがあればそれは物を書けるけれど、その人を余すことなく不満がないのならきっと確かに文学はいらないのだと思う。

まあ不満はたくさんあるけれど。彼は私にしか見せない表情で笑い、目を細め、私の髪を指で梳き、男性にしては細い腕を私の背に回す。それはもう幸福以外の何物でもなくて、さくりさくりと感性は切り刻まれてどっかに落としていくのであった。

 まだ書けないことが不安で仕方かったころ、アイデンティティを彼に奪われたようでいっそ憎悪までした。了承の上連絡を数日間絶ってみたらとってつけたような文章ならば書けるようになった。求めているものじゃなかったのですぐにやめた。結局普段から書いていないものが書けるわけもないのだった。また少しずつ書いていくしかないが今はその時ではない気がする、というまるっきり駄目な予感のまま今に至るので、この好機を逃すわけには行けない。

youtu.be

 

 これがさっき書いた聞きたかったのに聞かなかった新曲の一つ。

 毎日毎日おなじことを繰り返すけれど、繰り返すべきはこれじゃないってなんとなく思っている。結局自分は才能がない。眩しく光るものなんてない。何かを作り出す人は、作れないときに発表された娯楽を消費するのが怖い。自分にこれは作れないと絶望するのがわかるから。消費する勇気すらないので感性が死んでいく。

 変わりたい。変わることで傷ついたっていいとすら思っているけれど、それを自分から実行に移すことができない。カーテンを誰かにあけられて、眩しい朝日に目を細めるみたいに、現実が強制的にかわってくれたらいいのに、みたいな。

 一部の人を覗いて誰もが自分のことを「才能ないな」って思っていて、そこで思考が止まりかける。また歩き出すのって酷く億劫で、しかも目の前の道は暗いし、どうすりゃいいんだって思っている。眩しいDNAの人は、それでも歩き続けるから、いずれ明るいところに出られる。眩しいDNAっていうのは歩き続ける人なんだと思う。

  ランニングできる人は強いよね、といつかヒモ氏がいっていた。普通に当たり前のことなのだが、内容物のクオリティは問わず、毎日コンテンツを投稿し続ける人が人気が出るのだ。youtuberしかり、ブロガーしかり。自分も週一回放送されるアニメとドラマと毎日投稿されるyoutubeを見てなんとか保っていたのでよくわかる。

 特に関係ないですが毎日見てるゲーマーの動画を一つ置いておきます。

youtu.be

 あぽろさんはシャドウバースというカードゲームで毎日違うデッキを使った試合を投稿してくれる人なのだけど、プレイングが完璧か?というと多分そうじゃないし使ってるデッキもネタデッキが多いので、参考にはならないです。ならないですが毎日投稿してくれるので見てます。くそおもろいです。いつも楽しみをありがとう。

 

 いつか自分も外に出たいので、文章は書き続けなければならないな、と改めて思う。かなしいけれど自分はまだ眩しいDNAにはなれそうにない。でもこれ以外の何で戦えばいいのかもわからないので、やっぱり文章を書くしか道がない。

明日は本を手に入れなければ。ついでに卒論について書こうかな。

*1:私の恋人。今のところ経済力は私と同等程度あるがヒモっぽい見た目をしており、4月からは本当にヒモになる人。