異国日記を読んだヒモの感想
また社会とはこういうもの、とか大人だからこう振舞わなきゃ、とかそういうあたりまえと思われているけど本当は普通なんかじゃなく理想形であるんだ、ということへなぜみんな気がつかないんだろうという憎悪を書きます。
異国日記よみました よませました
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異国日記とは?
小説家の槙生ちゃん(35歳独身女)が姉夫婦の
遺児である朝(15歳中学卒業間近)を引き取りそこそこ仲良く暮らす話。
全体として、槙生ちゃんは朝の母である自らの姉が嫌いであるため、嫌いな人の子である朝ちゃんとどう付き合えばいいのか考えている話。朝ちゃん的には‘大人らしくない大人’である槙生ちゃんから、生き方や考え方を吸収する話。
以下会話 ネタバレ多数
「槙生ちゃんは優しいんだね」
「なぜ?」
「お姉さんを殺さなかったどころか今も生かしているから」
「もう少し噛み砕いて言うと?」
「作中で『こんなあたりまえのこともできないの?』とか、お姉さんの言葉がフラッシュバックして、それを心に留めながら生きている。
俺は2年前に親を脳内で殺してしまったのだけど、その理由としては何らか論争になった時にこっちの意見を言っても、『またなんか難しいこと言って』って言うんだよねいくら噛み砕いても、話を聞く気がないわけ、何を話しても分かり合えない、言うことを聞かせたいだけで、俺の利益になるようなことは何もないから、だから、殺してしまった。
槙生ちゃんは小説家だから、そもそもその言葉自体が益になっているのかもしれないけれど、言われた言葉を殺さなかった、忘れなかった、それはすごく、優しいことだと俺は思うんだ、優しいというか、素直?みたいな」
「共感できない?」
「できないね、全くできない。全部忘れてしまえばいいと思う」
少し脱線
「でも、みんながみんな小説家になったら困っちゃうから、ある程度共同体を維持しようと強制する思想は大事なんだと思う」
「そんな思想の上で成り立つ社会など壊れてしまえ」
「まあまあ。共同体を維持しようという思考はどこから生まれると思う?」
「……さあ」
「自分の不利益になるからだよね、例えばサラリーマンになって会社という共同体に入ります、なら会社潰れたら困っちゃうよね」
「自分の価値が自分にない?」
「そう、自らの場所に価値を置いてしまうと、共同体の維持に躍起になるから無理が生じることもある、サラリーマンでもいいし、農家でもいいけど、畑に価値があるから、それを次の世代にも繋げたい。
槙生ちゃんはたまたま、小説家になれた、自分の価値が自分にあった、だからそういう思想の輪廻から外れてしまった。逆か、輪廻から外れたから小説家になり得たのか」
パラパラパラ
「俺が面白いなこの本って思ったのはそういう問題提起をするだけじゃなくて、いいバランスで遠回しに教えてきたところなんだよね、このシーンなんだけど」
(槙生ちゃんの姉のセリフの回想シーン
『槙生 あんた 恥ずかしくないの 妄想の世界に浸ってて』
『小説だが何だか知らないけどそろそろ現実に向き合えば?』
という二つのセリフを見せられる)
「……………げ、現実、とは」
「そう、ほら、俺らはそう思うじゃん、そう思うところからこの問題を考え出すじゃん、多分槇生ちゃんもそうだろうけど。
でもこの姉に百パーセント同意する人だっている、それが間違っているとも言い難い」
「辛いことだね」
「そう?だから、みんな忘れちゃえばいいよ。気にするからダメなんだよ」
「みんながみんな君のようはなれないさ」
おわり。