もちもちの猫のほつれた右手

だいたい付き合っているヒモの話 不定期更新

酔った自分とアイスのはなし

ゼミナールの追いコンに参加しましたが一次会で安い酒を飲みすぎたせいかなぜか絶妙に具合が悪かった。二次会の記憶がほぼないのに後輩が多くてお金をたくさん払ったのはまあいいとして、具合が悪かったので二次会の途中でヒモ氏を呼んだ。どうやら研究室にいたようで、よくこの時間まで研究できるなあ、なんて思っていた。三次会に残った面々は好きな人たちだったしちょっと楽しくなってきていたが、ヒモ氏が迎えにきていたので帰った。

卒業旅行に一緒に行くくらい好きな人たちに囲まれていても飲み続けられないのに嫌気がさした。まあ普通に具合が悪かったのもあるんだけど、はやく帰りたいとも思っていた。

助手席でそのようなことを喚き、アイスが食べたいと騒いだので彼はコンビニに車を止めてくれた。酔っている時に迎えにきてもらった時は何度かあるが、彼はそういう時いつも半笑いで相槌だけ打ってくれる。酔っ払いの扱いとして正しい。クーリッシュを買ってくれたので車に戻る。

 

以下世迷いごと

深沢「はやく帰ろ アイス食べたい溶けちゃうから」

ヒモ「今食べればいいじゃん」

深沢「違う」

ヒモ「違うらしい。あったかいとこで食べたい?」

深沢「そう、ていうかアイスは暖かい場所で食べなきゃいけないって法律によって定めれている」

ヒモ「そうなの? 罰金とかある?」

深沢「懲役2年もしくは50万以下の罰金だよ」

ヒモ「罰金で済むのね」

 

(中略)

深沢「アイス食べよ」(まだ車の中)

ヒモ「罰金じゃん」

深沢「この場合車の中が暖房によって十分に暖かいため食べても罰金には当たらない。また車を降りた際に食べなければ大丈夫、そのために蓋つきのアイスを買った」

ヒモ「なるほどな 賢い」

 

という話を本気でしていた。覚えている限りこんな話をしていたがたぶん別の世迷いごとも発生してると思う。酔ってる割によく喋っていた記憶がある。

 

最近は本当にヒモ氏以外にケアしたいものがなくなってきて本当に良くないと思う。

『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』最終回感想

 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』こと「ルパパト」最終回、お疲れさまでした。暫く戦隊ものからは離れていましたが、怪盗というテーマにつられて見始めて完走した。最初から最後までおおむねリアタイ視聴で完走できたのは久しぶり。怪盗の美学が感じられるビジュアルと戦闘を初回に見せてくれたおかげです。

VSとはいえ、どうせ和解するんでしょ?との予想は裏切られ、共闘はすれども最後までタイトルどおりVSを貫いたのすごかった。怪盗には大事な人をどんな手段を使ってでも取り戻すという信念があり、警察には平和を守るという正義がある。

 ギャグ回も多かったけれど、それは全然無駄じゃなくて、怪盗陣営と警察陣営の普段姿の結びつけを強め、絆を深め、変身してからの断絶を強めるいい対比になったと思う。

 

以下最終回のはなし。

 

 まず特殊OP……ありがとう特殊OP……もう泣いた。こういう最終回っぽいことされるとほんとよわい。

 前回次回予告で、ドグラニオの金庫の中で晴れやかに笑っている怪盗三人を見て、ああ警察陣営が必ず救い出してくれると思ってるのね……とおもったけど全然違いました。『大切な人が元に戻ったので、自分たちはここで死んでもいいやー』みたいなやり切った幸せとある種の諦念、そこに後悔とかは一切ない晴れやかな諦めの笑顔がそこにありました。お前らの覚悟……ほんと……なくわ……

 一方苦戦する警察陣営、素顔名乗りありがとう。シザーダイヤルファイターやマジックダイヤルファイター、ビクトリーストライカーを用いて戦う姿は、金庫に入るまえに怪盗から託されたそれらで一緒に戦ってるみたいで熱い。正直シザーとビクトリーストライカーが鬼強いのでザミーゴとの闘いの前で手放したときはすげえ動揺したわ。でもきちんと扱えて戦ってて興奮しましたし、怪盗サイドの自分らがよく戦闘で使う&フィニッシャーを託すっていうことに思いが詰まってるんだよなあって改めて再確認。

  そして現れるスーパーパトレン一号。俺たちはそれがみたかったんだよ!!!!ありがとう!!!!感謝!!!!!2号と3号に背中を支えられる構図最高過ぎる、ついに致命的一撃をあたえることに成功する圭一郎。ほんとうにありがとう。警察陣営の絆と信じる心も強いよね。だってそれ圭一郎が負けたら三人一緒に死ぬじゃん……、みじんも思ってないんだよな。

 しかし鎖は破れない。金庫の中にいる3人を見殺しにしてでも街の平和を守れるか、この問いに3人は立たされる。咲也には無理だった。つかさよりも先に圭一郎が動き出す。ああ…あああ……。

 ぶっちゃけ圭一郎は打てるんじゃないかと僕は思っていたのだけど、魁利を救えないのなら警察を辞めるとまで豪語した彼に撃てるわけがないのだった。回想シーンが懐かしの名シーンすぎる。温泉回見直します。圭一郎は本当にいい男です。心を開いても絶対にその線引きより先には招かなかった魁利に比べて、圭一郎は甘い男だと思う。でもそりゃあそうなんだよね、根が善良だし、彼の夢は町の平和で何もすることがないお巡りさんなんだもんな……、大きな市民よりも、ひとりひとりに寄り添う人なんだよな。

 そして一年後。一年後!?!?!?薄い本が厚くなるドグラニオ様の様子に動揺したりもしましたが、ここであの再会シーンにすべて持っていかれぼろなきする。

 だっと走り出す透真と初美花ほんとうによかった……しほちーも走り寄って、ああ本当に彼女たちは女子高生なんだなってかんじだったし透真と彩ペアは本当に……よかったね……透真のあの恋人にしか見せない顔よ……尊すぎるだろ……一度ハグをといて確かめるように彩さんの顔を見てまた抱きしめる透真……ありがとうスタッフ…ありがとう濱正悟氏…………。

 そして魁利。魁利お前駆け寄れない、駆け寄れないよなだって透真はずっとお兄さんこそが正義で絶対で、圭一郎をそんな人に重ねて突き放したことさえあって、自分のしてきた怪盗稼業がずっと間違っていて、兄ならこんな方法はとらなかったと思っていたんだからそうだよな……。ごめん、ってごめんって言ったよね?幻聴だったらごめん?ごめんっていうのは「怪盗になるという選択をさせてごめん」ってそういうことでしょ??????ていうかお前、前回初美花にやり返されたその鼻をつまむ癖、お兄ちゃんからきてたのかよ……それお兄ちゃんの癖だったのかよ……しんだわ……。小暮さんとノエルはスカウトの件をあとからめちゃめちゃ3人に怒られろ。

 はいラストシーン、いよいよエンディングだね、OPで毎週見ていたルパンコレクションが最後のコレクション、名前は「あの日をもう一度」。お前最終回にふさわしすぎるんだよな、なんだよお前終わんないでくれよルパパト。最後のコレクションの次はパトレンジャーの装備しているVSチェンジャー、「あんたのお宝、いただくぜ」が魁利の口から警察に向けて。怪盗サイドの素顔名乗りありがとう。あと魁利の銃くるくるしながら撃つのかっこよすぎた。2号と初美花最後までいちゃついてたね、ありがとうはやく付き合ってね。

 例年の握手交代ではない、強制和解させるリュウソウレッドの活躍も見て、一年間のルパパトは幕を閉じたのであった。ラッキーみたいにリュウソウレッドはちょいウザ系レッドなのかな。

 僕は特撮ファンではあるけど毎年毎年見たり関連グッズや情報を集めるタイプの人ではなかったので詳しいことはわからんのですが、ルパパトで多分はじめてつかわれてるんじゃないかと思うあのVRっぽいカメラワークが特に好き。殺陣や怪盗の優雅な移動手段の時によく使われて、ぐりんぐりんうごくカメラと演者さんたちを本当にしびれながら毎週見てた。

 あとこれは余談だけど、CMで度々デカレンジャーのボス(戦隊シリーズ最大の推し)が出るたびに動機が止まんなくなってなんか今までルパパトで荒らされた心がひゅんっと元に戻ってくる。懐かしい顔ぶれがのぞくワクワクともう少しでルパパトが終わる悲しみでなんかもう気持ちがぐちゃぐちゃになってくる。

  先週のVSザミーゴも名場面の連続で戦闘シーンもさながらトリガーマシン、やられたときの氷に映る人間ザミーゴ、青い薔薇、「誰か一人が倒れても願いを叶える」という約束なんてもう機能していないこと、二人を抱きしめるレッドに抱きしめ返すブルーなんかも最高だったなあ……。

 

 一年間、本当にありがチュー。本当にいい作品でした。

そして永遠に、アデュー。映画見に行きます。

浮世メモをまたはじめようかなあと思う

高校の時、読解アヘンというサイトをよく見ていた。

 堀さんと宮村くんという漫画がもともと掲載されているのはこの個人サイトで、永遠に読んでいた。今見たら500話をとうに超えていた。全話読み終わる頃にはどっかの話を忘れているのでまた最初から読み直していた。トリ頭なのかもしれない。

  堀さんと宮村くんは、高校生男女の様々な友情や恋愛を描きつつギャグやシリアスをやる縦長の漫画*1で、本編は100話ちょいで終わり、その後ギャグ調のおまけ漫画が500話を超えている。

 堀宮*2は、学校ではギャルだけど家では家庭的な女の子堀さんと、学校では根暗のオタクみたいなのに実はピアスとかあきまくりの宮村くんたちを巡る学校生活の話なんだけど、そこはかとなく高校特有のマイナス部分とそれを取り繕って普段通りに生きる姿がよいので読んだことない人はぜひに。普通に声に出して笑っちゃうので移動中に読まないように。

この宮村と仙石*3のせいでがりがりの男の子が好きという私の性癖がさらに育てられたと言っても過言ではない……

で、堀宮はたしかに面白いのだけど、作者は同じくサイトに載せている短編漫画がめちゃめちゃにうまかった。全部読んでお願い。なんとなくその中の一つ、「浮世メモの夢に、鬼」という作品を思い出したので感想をちょっとだけ書く。

以下ネタバレだらけ。

 

要約。

主人公の星野はふとしたきっかけで夢日記を書く。読み直すと面白かったので、夢を思い出せないことがなんだかしゃくになり、それを日課にするようになる。友達の水沢にそれがバレると、辞めるように促される。

 しかしどうにも辞められない。だんだんと現実と夢の区別がつかなくなってくる。メガネはストローの袋なんかでできてないし、保健室はジャングルがあるから行きたくないし、水沢って実はウサギなんじゃないっけ。

  具合が悪くなり保健室で眠る星野はそこで見た夢をどうしても書き留めたくて、腕にペンでぎっしりと夢の内容を書く。それを水沢にみつかり怒られ、星野は夢日記を書くのを辞める。星野の生活に平穏が戻ってくる。

 しかし、本当に夢日記を辞めなければならないのは水沢の方だった。執拗にやめるように促していたのは、水沢自身が毎日自分の夢日記を確認しないと区別がつかなくなっていたからだった。星野は親友、食べてはいけない。星野は親友食べてはいけない……。おわり。

 

 星野は母子家庭の男子高校生で、そのことは別に何ともおもっていないのだけど、ふとしたときに何か暗いものがのしかかるのである。彼がどうしても保健室で書き留めたかった夢は父親の夢であった。かなしくない、つらくない。すぐ謝る母に謝らないでと言えない。自分がシチューくらい作れることを言わない。

 ちょっとしたコミュニケーションエラーとか押し殺してなくなったはずの気持ちとかそういうのって積み重なって忘れていくんだけど、何かの瞬間にしわ寄せがくるんだと思う。それが魔法のように解決したからそれに頼ってみたけれど、結局その代償はあとからはらう羽目になるから、多用してはいけないのだ。家族だと余計にそうで、言わなくてもいいだろうと思って言わないせいで、理解されないことが多々ある気がするなあと最近思い始めた。家族が自分を理解してくれないとずっと思ってきたけれど、コミュニケーションを取る気がないからそりゃそうだと家をでる寸前にきがついた。

 僕はこの少し不気味な話がなぜか異様に好きで、高校時代から何度も読んでいる。夢日記を書いたことがあるからかもしれない。学校に通っていた頃とかはほとんど学校に行く夢や友達と話す夢ばかり見ていたので、夢日記を書けば本当に区別がつかなくなっていた。一度友達同士で集まった時に、友達が夢で話した内容を現実で話したと勘違いして、そういえばこの前あんな話してたよね~と持ち出して引かれたことがある。マジで冷や汗かいた。そのあとにこの話を読んだので、夢日記やめようと思ってやめた。

たまにまたはじめるのだけど、あまり継続できない人間なのですぐやめてしまう。ブログに書くネタもないので、突拍子もない夢をみたら、また書こうかななんてふと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば今日はルパパトの最終回だった。

 明日あたりに感想を書きたい。あとコンビニを辞めたので、三年間で面白かった客選手権などをやりたい。

*1:別作者でコミカライズされ、縦長ではなく普通のコマ割りの漫画も存在する。タイトルは「ホリミヤ」になっていたと思う

*2:堀さんと宮村くんの略称

*3:堀宮に出てくる生徒会長

店内大変滑りやすくなっておりますのでお気を付けください

 バキバキに割れていた携帯を取り替えてもらった。

 何度かやっているので比較的スムーズにデータも移行でき、ゲームのデータもきちんと引き継げていたようだ。見違えるようにうつくしくなったiPhoneはそれはそれは画面が見やすくて、漫画や小説を読んでもヒビによって分断されることがないのであった。

 バキバキの画面の携帯を黄色い封筒に入れてポストに返却する。どこにいくのかはわからない。もうクローンなように中身が同じな新しいスマホをいじりながら、なんだか捨てられるこの子が可哀想にも思えてくるのだった。初期化してしまったので、helloしか言ってくれない。世界の言葉でこんにちはと画面に映し出すこのひびの入った携帯は確かにさっきまで私の端末だったはずなのだけど。ローソン店内のポストに入れたら何も入っていなかったみたいで、がこん、と少し大げさな音がしてびっくりした。

 

 ローソンに行ったら制服のポケットにじゃがチョコが無理やり突っ込んであった。普段全くシフトが被らない平日昼間のパートの女の子がバレンタインだ!と言って大量のお菓子を持ってきたららしく、事務所がお菓子パーティーの有様だった。小腹が空いた時みんなで食べているようだ。もしなくなってもいいようにポケットに突っ込んでおいてくれたのかもしれない。

 彼女は数個上で双子の小さな子がいるママなのだが、小柄でこれでもかというほど童顔なのである。ローソンに入ってきた当初、私は高校生のバイトが増えたな…と思っていたくらいだ。としをきいて子供の写真を見たときには流石に引いた。彼女こそ本当の美魔女である。私服だと普通にお姉さんに見えるし。

 毎週同じ時間にシフトがあるので、会わない人には本当に会わなかった。結局バイトを再開してから店長に一度も会わなかった。会わなくてもお菓子をくれる人がいる。存在を認識されているようで嬉しかった。

夜明けの街でサヨナラをという曲を思い出した。

 

youtu.be

 

 

バイトのユニフォームのポケットからでてきた

なんてことない手紙であなたを好きになったんだ

 

 コンビニバイトは24時間やっていて閉店時間ってものがないから、常に店のいたるところにメモが貼ってある。仕事が多すぎるのでいちいち覚えていられないので助かっている。特に事務所は酷くて伝言板のようなありさまになっている。出勤したときに、それを読むのが楽しみでもある。

「リゼロのくじ余ったら夜勤さん買い取りませんか?だったら店でとります」「新発売のお菓子美味しくなかったのでご自由にどうぞ」「節電しろ」「夜勤暇だったらレジ内掃除して」「○月▶日は近くでバスケの試合あるからからあげクンをめちゃつくる」「これあしたまでにやる」「○○さんから要望 ◆◆パン5個お取り置き」「得体のしれないおでんの具は売れないから今度からとらない」

にぎやかでゆるゆるで楽しいバイトだった。新商品を常にチェックできるしゲームの話が出来たしみんな優しかった。それぞれの文字で書かれるメモがおどる事務所が好きだったし、一緒に仕事をしていたフリーターの4つ上くらいの男の子が本当に癒しだった。ゆるゆるでふにゃふにゃした話をする人だった。何をしゃべっても「マジで?」か「あーね、わかる」くらいの返答を返してくれるので頭を使わなくて済んだ。彼のおかげでメンタルが保てていた部分もあるだろう。

明日その店を辞める。はじめてのバイトだったので初期は死ぬほど使えなかったし、一度辞めてからもよくしてもらっていて感謝しかない。明日は少しかみしめるように働こうかと一瞬思ったけれど、多分いつものようにお腹すいたなあって思いながら不愛想にレジを打って終わるのだろう。

卒業先の住所を書けって言われたので「何に使うんですか?」ってキレ気味に言ってしまった

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https://aratama.github.io/kemonogen/

 うちのゼミは四年生が下級生に向けてどんな卒論かいたの?という発表会をするのですが、毎年教授がこないので、今年は好き勝手やろうと思っている。

 上記は発表スライドの表紙に使わせていただいたもので、文字を打つだけで簡単にケモフレ風ロゴが作れるけものフレンズロゴジェネレーターを使用させていただいた。URLもつけておいたからぜひ使ってみてね。結構アニメのロゴジェネレーターはたくさんあるよね、ポプテピとか化物語とかリゼロとか。いつもお世話になっております。

 その卒論発表会、去年も一昨年も下級生側だったけれど眠くて眠くて駄目だった。なんとなくこんな方向性で書かないとだめなのねー、くらいのことはわかっても、研究内容にさほど面白そうなものがあると思えなかった。会場が暗いのもいけない。というのは同期もわかっていたので、今年は一人5分程度で終わらせて、就活との兼ね合いとかゼミナールから逃亡したい人はどうしたらいいか*1とか、そういう話をしてさっさと終わりたいね、と言っていた。教授をぼこぼこにdisる気まんまんである。

 泣く子も黙るブラックゼミに実質2年生から所属していたので、卒論だけは教授の奴隷から解放されたいと思って、去年の1月頃に隣の研究室に凸した。*2そういえば入学したころやりたかった学門って隣のゼミでやってることじゃん、って思いだしたのが3年の後期になってからだった。遅すぎる。そうやって自分で研究分野を見つけないと、4月に教授がやりたい研究を割り振られて卒論を書かされることが目に見えていた。基本的に膨大な単純作業が必要な研究で、教授の手柄になるようなことしかやらされないのは知っていた*3ので、自分があいつの奴隷になるのがどうしても耐えられなかったのだ。

 作業量もさながら、暴言も酷い人だった。私はそこそこうまく立ち回ってきたほうなのでましだけれど、課題をやってこなかった人などは「そんなんで社会に通じると思ってるのか」「お前は人間のクズだ」などと怒鳴られていた。ファイルを机に投げるので、バンっていう音が静まり返った研究室に響く。確かに課題をやってこないのはよくないが、言っていいことと悪いことの区別がついていなかった。みんなが今日の教授のご機嫌が麗しいかどうかをきにしていた。歳なのか物忘れも酷くて、先週自分が指示したことを覚えていなくて、全く違う指示を飛ばしたりする。結局彼はその場の思い付きで話しているだけなので、教授の言うとおりにやったのにその日の教授の基準では間違っているので怒られている、とかもザラだった。

 隣の部屋の主はその点、理論武装が行き届いていたし、言葉が穏やかで自分の機嫌に態度が左右されず、ユーモアのわかる人だった。うちの教授に奴隷のように使われている*4仲間でもあったので、彼が立場上悪口を言うことはなかったが、うちの教授関連のブラックジョークを私が言うと結構ウケていた。何故この作業をしないといけないのか、それはどういう基準でどう行ったらいいか、指示をするのも上手だった。ただ基本的に進捗確認は行わず、学生の意欲に任せる人だったので、なにからなにまで管理されなければできないという人には合わないようだった。確かに彼が黙って知識を与えてくれる人ではなかったので事前に問題点を考えて質問しにいき、ざっくりでもいいから要望をしないといけなかった。しかもその要望に付随するような知識もやはり与えてはくれないので、その辺は鍛えられたかもしれない。学生が困っているのを見てにやにや笑って隣に立っているような人だが、にっちもさっちもいかなくなってんな、何を質問したらいいかもわかんないんだろうな、というのを察すると一言ヒントをくれた。それがまた天井に小さな穴が開いたみたいに、ぱっと道が明るくなるようなものなのだった。簡単な質問はLINEでいつでも答えてくれたし、ラインスタンプまで送ってくれた。なぜこれをするのかをわからないまま不条理に働かされてきた身としては天国のような一年だった。

 この前自分の本来の研究室に行ったら、実習がはじまるから来て!となぜか実習に参加させられた。暇だったからいいのだが、内容はやはり教授の下請け作業だった。明確な基準がないものを分類しないといけなかったので皆いらいらしていた。2月のこの時期になっても奴隷やってるなんて大変だな、と思った。

 学生のうちに良くない上司と良い上司を経験出来てよかったかもしれない。比較になったしモラハラパワハラ上司に当たっとしても、心の殺し方や対応などがスムーズにできるから、どっちの人にも感謝してる、わけねーだろばーか。

大学法人でしか生きたことがない人に「社会で生きていけないぞ」なんて脅されてもこわくねーよ。お前の知ってる社会って社会じゃねーよ。

いつか暴言を録音されて大学側に提出されろ。地位と職を失え。生きがいの全てを失えばいい。水を飲むたびにいつも鉄の味がしろ。

 

*1:今年は私を含め他ゼミの研究分野に逃げた人が二人いた

*2:卒論を自分で決めると、卒論で忙しいから教授のお手伝いはできませんという言い訳がまかり通るようになる

*3:なぜなら学生はたくさんいるので教授一人では到底できないような作業量でも、学生は卒業がかかっているので友達を巻き込んで頑張ってやらざるを得ないからだ

*4:彼はうちの大学のコース内で一番若い先生なのだった

眩しいDNAだけが外に出られる

 最近は文章を書く気力がわいてきた、というか、身体から文章があふれ出てくる状態に戻ってきた。嬉しい限りだ。

 道を歩いているだけで、電線上にいながらなにやらもごもご喋っている烏、夕焼けを帯びて虹色のようにグラデーションがかかる空、水を含んで重たい靴、頬を刺す風がコートにべったりと付着するような雪を連れてくる、なんて言葉がうごめいている。たのしい。

 1週間前まで一向に何かを書きたいという気持ちがわいてこなかった。好きだった人たちの小説を読めば、好きなキャラクターの二次創作を読めば、と思ったけれど、大まかなストーリーを追うのさえ目が滑り、つまらなくなって読むのをやめてしまう。

 何か書かなければ、と真っ白なワードの画面を開いてキーボードを凝視してみる。ぽちぽちと少し音を鳴らしては、苛立ったようにバックスペースキーが連打された。作家のまねごとをしていた私は本当に死んだらしいと思った。その状態に焦燥感すら抱かなくなった。

 音楽も聴けない。好きなアーティストが沢山新曲を出していたけれど、それを聞いて感情を動かされるのが面倒だった。元々知っている曲ばかりきいたけれどすぐに飽きる。音楽は情報の密度が多いので、摂取することが怖かった。海外ドラマと特撮とアニメ、ゲーム配信系youtuberの新着を消化できていたのがせめてもの救いだったのかもしれない。

 何を原動力に話を書いているか、と言われれば、自分は間違いなく負の感情である。世の中への憎悪を思い出してきたらしい。能動的に。ぼうっと何をするでもなく座ってることが多くなってきたので、きっと絨毯の毛の奥とかに落としてきた感性が戻ってきたのだと思う。

 ヒモ氏*1が最近自分の研究が楽しいらしく、あまり構ってくれなくなった。自分としても嬉しいことで、彼が私に構えば構うほど、構われ時間が最大の状態を普通だと思うようになってしまう。暇だな、と思うと彼を求め、彼がそれに答えることで私は物を書くために必要だった何かを失っていくのである。最近は構われ過ぎていたようだ。

 リア充に文学は必要ない、みたいな言説(うろ覚えなので大分語弊のある言い方ではありますが)は、文学は慰めだというような、読む人を対象とした言い方もされるけど、書く側にしても正しいと思う。原動力が負の感情の人にしてみればきっと正しくて、例えば恋人がいても満たされない何かがあればそれは物を書けるけれど、その人を余すことなく不満がないのならきっと確かに文学はいらないのだと思う。

まあ不満はたくさんあるけれど。彼は私にしか見せない表情で笑い、目を細め、私の髪を指で梳き、男性にしては細い腕を私の背に回す。それはもう幸福以外の何物でもなくて、さくりさくりと感性は切り刻まれてどっかに落としていくのであった。

 まだ書けないことが不安で仕方かったころ、アイデンティティを彼に奪われたようでいっそ憎悪までした。了承の上連絡を数日間絶ってみたらとってつけたような文章ならば書けるようになった。求めているものじゃなかったのですぐにやめた。結局普段から書いていないものが書けるわけもないのだった。また少しずつ書いていくしかないが今はその時ではない気がする、というまるっきり駄目な予感のまま今に至るので、この好機を逃すわけには行けない。

youtu.be

 

 これがさっき書いた聞きたかったのに聞かなかった新曲の一つ。

 毎日毎日おなじことを繰り返すけれど、繰り返すべきはこれじゃないってなんとなく思っている。結局自分は才能がない。眩しく光るものなんてない。何かを作り出す人は、作れないときに発表された娯楽を消費するのが怖い。自分にこれは作れないと絶望するのがわかるから。消費する勇気すらないので感性が死んでいく。

 変わりたい。変わることで傷ついたっていいとすら思っているけれど、それを自分から実行に移すことができない。カーテンを誰かにあけられて、眩しい朝日に目を細めるみたいに、現実が強制的にかわってくれたらいいのに、みたいな。

 一部の人を覗いて誰もが自分のことを「才能ないな」って思っていて、そこで思考が止まりかける。また歩き出すのって酷く億劫で、しかも目の前の道は暗いし、どうすりゃいいんだって思っている。眩しいDNAの人は、それでも歩き続けるから、いずれ明るいところに出られる。眩しいDNAっていうのは歩き続ける人なんだと思う。

  ランニングできる人は強いよね、といつかヒモ氏がいっていた。普通に当たり前のことなのだが、内容物のクオリティは問わず、毎日コンテンツを投稿し続ける人が人気が出るのだ。youtuberしかり、ブロガーしかり。自分も週一回放送されるアニメとドラマと毎日投稿されるyoutubeを見てなんとか保っていたのでよくわかる。

 特に関係ないですが毎日見てるゲーマーの動画を一つ置いておきます。

youtu.be

 あぽろさんはシャドウバースというカードゲームで毎日違うデッキを使った試合を投稿してくれる人なのだけど、プレイングが完璧か?というと多分そうじゃないし使ってるデッキもネタデッキが多いので、参考にはならないです。ならないですが毎日投稿してくれるので見てます。くそおもろいです。いつも楽しみをありがとう。

 

 いつか自分も外に出たいので、文章は書き続けなければならないな、と改めて思う。かなしいけれど自分はまだ眩しいDNAにはなれそうにない。でもこれ以外の何で戦えばいいのかもわからないので、やっぱり文章を書くしか道がない。

明日は本を手に入れなければ。ついでに卒論について書こうかな。

*1:私の恋人。今のところ経済力は私と同等程度あるがヒモっぽい見た目をしており、4月からは本当にヒモになる人。

自分を切り売りすることでしかコンテンツを作れない

 「自分と相手しかしらないような話を書き綴って評価されて悦に入るのほんと気持ち悪いな」とTwitterの裏垢でセックス記録を書いている女に空リプしてる人がいた。

 

基本的に私たち恋愛脳ポエマー系文字書きもどきもおんなじで、自らの経験をそのままあるいは加工して切り貼りしているだけなのでひゅんってなった。

どこぞにヒモのような男のはなしばかりする人とかいるじゃないですか。私です。

hanatsubaki.shiseidogroup.jp

 

ついこの前まで流行ってて書籍化されたダルちゃんもそうで、ダルちゃんは文字書きもどきではなくなったので私とは違いますが(社会的に評価されたので)、彼女は恋人のことをネタに詩を書いていたのが原因で別れる訳なんですよね。

でもこの際のネタにされる側の人の主張も痛いほどわかって、ほら、不特定多数に自分が恋人にしか見せない顔や話というものを知られるわけで、親しい人はそれが自分であると気が付いてしまうかもしれないんですよね。そんなの嫌だよな。

でも書く側からしてみれば書きたいと思って書くのがその話なわけで、違う話には恋愛脳すぎて興味がわかなかったり発想が貧弱すぎておもいつかなかったり、書かないってことはできないし、なんというか、地獄。

 

内定先のキラキラベンチャー同期に会ったときも、自分になんら話せる話題がなくてしぶしぶ恋人のはなしをした。盛り上がる場と明るい声色とは裏腹に娘を人売りに買い取ってもらう母みたいな気分だった。いやそりゃ天気とか地元がどれだけ田舎だとかそんな当たり障りのない話だけならできるんですけども。元々意識高い系かつ就活で自分をよく見せるゲタを履いた人たちってすぐ将来のはなしとかどうなっていきたいかとか自分の内面を掘り下げる話をしたがって、よくそんな知り合ってお互いの名前も覚えてないような人に内面の事聞けますよね、みたいなこと思いました。僕は中身がすかすかなのと、文字書き好きですみたいな話をしても盛り上がるわけがないどころが、あそうなんだ……(これからどんな話につなげて広げればいいんや……)みたいな困惑を招くだけなのを知っているので、泣く泣く恋人を話題という人質に出したわけです、ほんとうにごめんな、ヒモよ。場は持ちました。とりあえずコイバナしとけば距離縮まるやろ!的な人たちも滅びてくれないかな。

 

という話を恋人にしたらうんこじゃん、と言われたのでその罵倒の語彙力はともかく、あまり自分の話題を切り売りされることを快く思っていないだろうな、とは感じました。

でもブログとかTwitterに書くのやめれんねえよ……文章力のないインキャですまねえな……